Theme Editor 3.0 の脆弱性:CSRFからリモートコード実行に至る仕組みと対処法 [CVE-2025-9890]

WordPressプラグイン「Theme Editor」で発見された脆弱性(CVE-2025-9890)について解説します。

今回は「なにが起こるのか」「なにが問題なのか」「コードとしての原因」「どうすればいいのか」を、整理します。

Theme Editorとは?

Theme Editor は、WordPressの管理画面から直接テーマやプラグインのファイルを編集できる mndpsingh287 さんが公開しているプラグインです。

PHP・HTML・CSS・JavaScriptに対応したエディタを備えており、functions.phpstyle.css などをブラウザ上で開いて編集できます。

主な機能は以下のとおりです。

  • テーマ/プラグインのファイルを編集・作成・削除
  • フォルダやファイルの新規作成、アップロード、ダウンロード
  • テーマ全体やプラグイン全体を一括ダウンロード
  • 子テーマの新規作成・複製
  • コードミラーによるシンタックスハイライト付きエディタ
  • 画像のアップロード・プレビュー機能

テーマの微調整や子テーマの作成を手軽に行いたい開発者に便利なツールですが、管理画面上で直接コードを扱うため、慎重な運用が求められます。

なにが起こるのか

Theme Editor 3.0 以前のバージョンでは、特定のリクエストを通じて 外部サイトから意図しないテーマ編集操作 が実行される可能性がありました。

この問題は「クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)」と呼ばれる仕組みを悪用されることで発生します。
管理者がログイン中に、攻撃者が用意したページのリンクをクリックすると、管理者本人の認証情報を利用して、テーマファイルの編集が行われてしまう恐れがあります。

結果的に、意図せずファイルが変更されたり、悪意あるコードが書き込まれる可能性がありました。

なにが問題なのか

WordPressの管理操作では、フォーム送信や設定変更を保護するために「nonce(ワンタイムトークン)」が使われます。
これにより、外部サイトからの不正リクエストを防いでいます。

しかし、Theme Editor 3.0 ではこの nonce チェックが適切に実装されていませんでした
そのため、外部サイトから送信されたリクエストでも正規の操作として扱われてしまう状態になっていました。

つまり、ユーザーが何か特別なことをしなくても、「ログインしたまま外部リンクを踏むだけ」で意図しないテーマ編集が行われる可能性があった、という点が問題です。

コードとしての原因

WordPressの管理画面操作を安全に処理する場合、通常は以下のようなコードでCSRF対策を行います。

check_admin_referer('theme-editor-action');

この関数は、フォームやリクエストに含まれるnonceトークンを検証し、
一致しなければ処理を中断する仕組みです。

Theme Editor 3.0 の脆弱性は、
このような check_admin_referer() の呼び出しや wp_verify_nonce() の確認が抜けていた、もしくは不十分だったことが原因です。
その結果、誰でもHTTPリクエストを送るだけでテーマファイルの変更リクエストが通ってしまう状態でした。

利用者はどうすればいいのか

対処方法はシンプルです。

  • Theme Editorプラグインを最新版(3.1以降)に更新する
     → このバージョンでCSRF防止処理が追加され、問題は修正されています。
  • もしTheme Editorを使っていない場合は、一度無効化または削除するのも有効です。
  • WordPress管理者は、不審な外部サイトやメールリンクをクリックしないよう注意するのも基本的な対策です。

WordPressのエコシステムと安心感

今回のような脆弱性は、WordPress本体ではなく「プラグイン」のコード設計によって生じた問題でした。プラグインは特定の技術者が設計と開発することができるので、WordPressの深い知見を活用できていなかったパターンとして発生しました。

ただし、WordPressには セキュリティ研究者・開発者・プラグイン作者・Wordfenceなどの監視チーム が存在し、
常に脆弱性を調べており、発見された脆弱性は速やかに共有・修正されるエコシステムが整っています。

Theme Editorの問題もすでに修正版が公開済みです。
最新版に更新することで、この脆弱性は解消されます。

まとめ

  • Theme Editor 3.0 以前には、CSRFによりテーマファイルが不正に書き換えられるおそれがありました。
  • 原因は check_admin_referer() によるnonce検証が不十分だったこと。
  • 対応済みの最新バージョン(3.1以降)へ更新すれば問題は解消します。

WordPressは多くの開発者が関わる健全なエコシステムを持っています。
定期的にプラグインやテーマをアップデートしておけば、安心して使い続けることができます。

参照リンク

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